一言でT-shirtsと申しましても年代やブランドでディテールが多岐にわたっています。気に入って購入したブランドだけれどいつの間にか仕様が変わってしまってる、なんて事が何十年も愛用しているとよく遭遇しがちです。
ここではそういった変化・変遷をアーカイヴとして書き留めておきたいと思います。
T-shirtsを扱う商売であり、かつ、市井のT-shirts好きの与太話ですが宜しくお付き合いのほどを。
今回の物件は1998年5月に催されたAppleの恒例イベント「WWDC」でスタッフが着用していたいくつかのパターンのうちの一着です。
WWDCは1998年5月11〜15日 2002年までは毎年5月に行われていました。WWDCが6月というイメージは2003年以降になってからの話ですね。
これは所有していた4着のうちの1着で「HARDWARE」とフロントにプリントされています。
これは何かというと、このイベントで後々までアップルで継承されるハードのマトリクスが定義されるのです。
単純明快な「デスクトップ」「ラップトップ」、そこに「コンシューマー」「プロ」と区分分けし、そこに当てはまるモデルを一つづつ入れていくわけです。
この時点ではまだ「iBook」がリリースされていないため、ここのカテゴリーが空白ですが
デスクトップ+コンシューマーにiMac、
デスクトップ+プロにPower MacG3、
ラップトップ+プロにPowerBook G3が配置されていました。
まぁ現在ではiPadやAir系をリリースしたためにお互いが喰い合ってるような印象は否めませんが。
ボディに使われているのはanvilのPRE-SHRUNK COTTON 100%の少し厚手のものなんですが、レギュラーモデルではなく、なんとAuthentic Pigmentとのコラボのダブルネーム商品。何故にこの商品をWWDCのスタッフT-shirtsに選択したのかも謎ですが。ザラッとした着心地がいかにもアメリカ。タグに小さく「made in USA」と表記されています。刺繍の制約からこのフォント?なんでしょうけれど愛おしいですね。トータルデザインが可愛いです。
Authentic Pigmentもこの時期は大手T-shirtsに発注していたのでしょうか?そこにオリジナルのデザインのタグを付けて販売していたのかなぁ。タグは刺繍の折り返しでキッチリと作られています。恐らく染め上げる時にシルクスクリーン印刷のタグだと色によっては見えにくくなってしまうからではないでしょうか。
シルエットは1990年代後期にありがちなゆったりめなスタイル。同じLサイズでもやっぱりこの時期のアメリカのT-shirtsは大きく作られています。ネックリブもまだダブルステッチではなく、見た目もシンプル。
右袖には ロゴ(Ⓡマーク付き)と98 Worldwide Developers Conference
当時のコーポレートフォントであるApple Garamondですね。美しい。
*これだけ処分が早かったために写真もちょっと違う撮り方をしています。御了承ください。
1). 両袖のピーク幅 91cm
2). ネック後部からの身丈の長さ 75cm
3). 脇幅 54cm
4). ネックリブの縫い付け部の幅(首周り) 21cm
5). 脇の縫製部分の長さ(おおよそです)25cm
6). アームホール(平らにしての採寸)19.5cm
7). ネックリブ自体の幅 2.5cm
SIZE: Large