一言でT-shirtsと申しましても年代やブランドでディテールが多岐にわたっています。気に入って購入したブランドだけれどいつの間にか仕様が変わってしまってる、なんて事が何十年も愛用しているとよく遭遇しがちです。
ここではそういった変化・変遷をアーカイヴとして書き留めておきたいと思います。
T-shirtsを扱う商売であり、かつ、市井のT-shirts好きの与太話ですが宜しくお付き合いのほどを。
今回の物件は死刑廃止を訴える国際的団体:Amnesty Internationalの日本支部が製作、販売していたT-shirtになります。
まぁ時代だったといえばそれまでなんですが、私が初めてこの団体の名前を耳にしたのは1988年に日本でも東京ドームで行われた「Human Rights Now」コンサートでした。Bruce SpringsteenとPeter Gabriel、Tracy Chapmanまで一堂に会するビッグイベントでした。このイベントを後押しした団体の一つがアムネスティだったんです。そんな機運と重なるようにその後中国では天安門事件が起きたり、東西ドイツが統一されたり、ソビエト連邦が崩壊したり、ルーマニアでは独裁国家を敷いてたチャウシェスク大統領(当時)が失脚・処刑されたりと、世界中が人権やら独裁国家の無茶苦茶さに少なからず関心を寄せるようになったムードの中、若い私も「思慮深いと言われたアーティストがこうやって行動してるのならいい事なんだろう」と思っちゃったわけです。
で、参考資料を取り寄せて活動内容なども調べて。当時アムネスティは「国の法制度の死刑廃止は唱えるけど自国内の政治運動にはコミットしない」のが特徴でした。ですので日本人でしたら日本国外の死刑廃止や無実の政治囚の解放を懇願するハガキを郵送するという方法(署名の一種ですね)が主な活動内容でした。
これならできるな、と賛同会員になり、定期的に送られてくるレポートやニュースレターを手にするくらいでした。そこにこういうグッズ販売のお知らせもたまにあって、そこで購入したのがこれというわけです。
このイラストを描いたのは故・和田誠氏。平野レミさんの旦那様でもあり、トライセラトップスの和田唱さんのお父さんですね。団体に賛同してこういうイラストを提供するアーティストは他にも何人かいまして、海外ではピカソもそうだったかな?ピカソの鳩のイラストを元にしたグッズも販売されていました。
そんな団体のあらましはここまでにして、これは1991年9月に横浜パシフィコで催された「20th International Council Meeting」に因んだT-shirtです。平和のシンボル:鳩が籠に閉じ込められている=自由を搾取されているという構図のイラスト。
ボディはタグもないので失念しましたが柔らかい、ちょっと小ぶりなサイジングのT-shirtでしたね。
フロントプリントのみでインクがしっかり乗っているので汗をかいたらプリントの背景部分が汗を吸わなくて嫌だったなぁ、という思い出が。
その後しばらくするとアムネスティは国内案件にも首を突っ込むようになったので私も距離を置くようになってしまいました。