一言でT-shirtsと申しましても年代やブランドでディテールが多岐にわたっています。気に入って購入したブランドだけれどいつの間にか仕様が変わってしまってる、なんて事が何十年も愛用しているとよく遭遇しがちです。
ここではそういった変化・変遷をアーカイヴとして書き留めておきたいと思います。
T-shirtsを扱う商売であり、かつ、市井のT-shirts好きの与太話ですが宜しくお付き合いのほどを。
今回の物件は1969年9月26日に英国でリリースされた名盤:Abbey RoadのアルバムジャケットがプリントされたオフィシャルT-shirtになります。現在流通してるものとは違った味わいがあって、懐かしい一品です。
と、言うのも現在Apple Corps.,Ltdで管理されて販売されているT-shirtsはタグがThe Beatlesになっています。
例えば英国のアパレルブランド; nextとコラボしたキッズ用のこのT-shirtはきちんとリンゴマークにThe Beatlesと入っているタグですし、アメリカで放映されたアニメキャラがデザインされたこっちにはタグレスですが同じデザインでプリントされています。更にフロントプリントの「A is for Apple」のところには一時期レーベルに使われていたAppleと入ったリンゴマークまで!
流石オフィシャル、きっちり細かいところまで管理されています。
ですがこれ。ボディに使われているのがタグを見ておわかりのようにFruit of The Loomなんです。
じゃあオフィシャルじゃないのか?と思う方もいますが、れっきとしたオフィシャルものなんです。
Apple CorpsがThe Beatlesの版権を再び管理下にできたのが紆余曲折あって1990年代の中期。権利関係がクリアになったことからかアンソロジープロジェクトが立ち上がったり、The Beatles関連が再び騒がしくなってくるわけですが、音源と同時にこういったグッズもどんどん出てきたわけです。
日本では老舗のファンクラブ:ビートルズシネクラブ(注:1996年に名称が「ザ・ビートルズ・クラブ」に変わっています)も関係してたのか?そういったグッズが渋谷のビルの上階で販売されていた時もあります。
そんな時代の、グッズが出回った初期の物件だと思います。確かこのAbbey RoadとSgt. Pepper’sが売られていたのを覚えています。
フロントプリントはもちろん、表のアルバムジャケット。裏は裏ジャケでもお馴染みのレンガに埋め込まれた道路標識とBeatlesの文字。ただ、ここには裏ジャケで写ってる、青いワンピース?の姿はカットされています。
アルバムジャケットの下にきちんと©️クレジットも入っていました。カメラマンのIain Macmillanのクレジットも見えます。
コットン100%のサイズがLARGE。丸胴でネックはシングルリブステッチ仕様。made in USAですね、これは。Fruit Of The Loom、GILDAN系のゴワっとした感覚のT-shirtsでした。
私も英国に滞在してた頃何度かSt. John’s Woodのこの場所に来てるのですが、写真に収めたのはたった2回。誰か撮ってくれる人がいないとダメなわけで。そんな中で自分の写真で最古のものが1991年のこの写真。Abbey Road Studio前の横断歩道だとありきたりだと思うのでこのT-shirtのバックプリントのモチーフになったとおぼしきここの写真など。
Abbey RoadをKilburn方面に北上していくところにこれはあります。1969年当時は「ABBEY ROAD」と表記されていたようですが1991年には既に省略形の「RD.」になっていますね。
因みにアルバムジャケットでは白壁の割合低めな場所にABBEY ROADと入っていましたが、この1991年にはそれと思われる白壁には既に一般的なプレートタイプに取って代わられていて、ジャケットのようなタイルで作られたのは私がうろうろした限りここだけでした。
なのでここで裏ジャケっぽく青い服で通り過ぎるところを撮ってもらったのですが、もうちょっとシャッタースピードを遅くするべきだったとか、この写真、街灯の柱も入っちゃってるよ、とか諸々の後悔があるのでまた行けたらきちんと撮り直したいなぁ。できたらジャケットの撮影と同じ8月8日辺りの夏の日に。