Yahoo!ニュースより全文引用。「うーん….」という感じですね。とりあえず備忘録ということで。
一見するとなんの変哲もない古びたTシャツが、100万円を超える価格で取引される――。
今、ファッション業界で大注目を集めているアイテムがある。ヴィンテージTシャツだ。
「ヴィンテージTシャツはここ数年で注目を集め、うなぎのぼりで価格が上がっています。10年前に数千円だったものが数十万円で取引されているなんてこともザラです。中には30~40倍に跳ね上がっているアイテムも。今年5月には、日本でヴィンテージTシャツ専門のネットオークションが開かれ、落札予定価格130万円という激レアTシャツまで登場。その他にも高額での落札が続き、話題を集めました」(ファッションバイヤー)
東京・原宿でヴィンテージアイテムを中心に扱う古着ショップ『What’z up原宿店』の中村友一店長は、過熱するヴィンテージTシャツ熱についてこう説明する。
「ヴィンテージTシャツとひとことで言っても、バンドや映画の公式グッズとして販売された『バンドT』や『ムービーT』、アート作品として制作された『アートT』、アニメ作品を扱った『アニメT』など種類は様々です。共通しているのは30年ほど前に販売されていたものであるということ。そういったものを一般的にはヴィンテージTシャツと呼びます。
以前からヴィンテージTシャツというジャンル自体は存在していましたが、扱っていたのは’80~’90年代のバンドTとスケート系がメインで、正直言ってここまでの人気はありませんでした。徐々に値段が上がり始めたのは5年ほど前。そこから今も右肩上がりを続けている状況です。正直、どこまで上がるのか僕らにもわかりません。うちの店でも3年ほど前にアメリカの写真家ヴルース・ウエーバーのロングTシャツを約60万円で販売しましたが、現在では100万円ほどになっています。ヴィンテージTシャツの世界がこんなことになるなんて、10年前には誰も想像できなかったと思います」
なぜ、それほどまでに価格高騰が起きているのか。中村店長は、海外人気が大きな理由だという。
「もともと、ヴィンテージカルチャーは日本が先行していて、海外ではそこまでの認識はありませんでした。ただここ数年、アメリカやヨーロッパのスタイリストさんたちがブームを仕掛け、海外セレブも愛用するようになった。その結果、海外でもヴィンテージTシャツが注目されるようになったんです」
実際、’15年にアメリカ・ロサンゼルスで開かれた『アメリカン・ミュージック・アワード』では、歌手のジャスティン・ビーバーが『NIRVANA』のヴィンテージバンドTシャツを身につけて登場。着用アイテムの『heart shaped box』は、ファッション愛好家やジャスティンファンを巻き込んでの争奪戦となり、価格が高騰した。当時よりは落ち着いたものの、このTシャツは現在でも50万円程度で売買される高額アイテムとなっている。中村店長が続ける。
「僕らも3ヵ月に一度、海外に買い付けに行ってますが、ヴィンテージTシャツは本当に入手が難しくなってきています。しかも、その3ヵ月の間でも値動きが激しく、仕入れ値すら読めない状態になっている。3年前なら普通に売っていたアイテムがまったく手に入らないというケースもあります」
さらに、’90年代のファッションなどを取り入れる「レトロブーム」が起きていることも、ヴィンテージTシャツ人気に拍車をかけているという。
「’20年代以降、’90年代のカルチャー系のTシャツがヴィンテージ化し、枠が広がったのも注目を集めるきっかけになりました。ただ、バンドTと違ってカルチャー系のTシャツはそもそも生産量も少なく、数自体がありません。それによって需要と供給のバランスが釣り合わなくなったのも価格高騰に繋がった理由の一つです。ムービーTの筆頭格と言われる映画『Pulp Fiction』のヴィンテージTシャツに代表されるように、’90年代はカルチャーとして濃いものが多く、デザイン性も高いので人気を博しています。ちなみに『Pulp Fiction』のTシャツは、10年前だったら安いお店だと2000円程度で購入出来ていましたが、今は20万~30万円で売買されています」
当然ながらすべてのヴィンテージアイテムが高値を記録しているというわけではない。
「価格が高騰しているものはヴィンテージTシャツの中でもデザイン性の高いもの、そしてデッドストック(在庫なし)のアイテムです。アニメTシャツで言えば『AKIRA』のTシャツは50万円近い値が付けられていますが、それもやはりデザイン性の高さゆえです。ショートムービー作品『RUNAWAY BRAIN』のグッズとして販売されたミッキーTシャツは、後ろに凶悪なミッキーが描かれていて、うちでは33万円で販売しています。公式がこういったデザインのTシャツを出すという希少価値の高さがそのまま値段に反映されています。日本の映画で言えば『殺し屋1』のムービーTシャツも公開当初から圧倒的に数が少なく、20万~30万円ほどで売買されています」
一方で懸念されているのが偽アイテムの急増だ。
「需要の高まりを受け、以前よりも偽物が出回るようになっています。それに加えて、年々、偽装技術も上がり、プロでも間違えてしまうケースが増えている。購入を考えている方は、事前に真贋の目がある人に商品を見てもらうか、信頼できるショップで買うことをオススメします」
高騰が続くヴィンテージTシャツ。熱狂はどこまで続くのだろうか。
取材・文:土山悠