一言でT-shirtsと申しましても年代やブランドでディテールが多岐にわたっています。気に入って購入したブランドだけれどいつの間にか仕様が変わってしまってる、なんて事が何十年も愛用しているとよく遭遇しがちです。
ここではそういった変化・変遷をアーカイヴとして書き留めておきたいと思います。
T-shirtsを扱う商売であり、かつ、市井のT-shirts好きの与太話ですが宜しくお付き合いのほどを。
今回の物件は50歳前後の男性ならば懐かしさを覚えるであろう「VAN」のT-shirtです。(もちろん団塊の世代も。)
正確には現在も細々とやってる本家筋のものとは違って「VAN」のライスンスを得た株式会社水甚(岐阜市)が生産販売しているセカンドブランドのような位置付けだと思います。
流通経路もイトーヨーカ堂をメインに販売しています。私は福島駅前のイトーヨーカ堂で偶然見つけて購入しました。本家は主に百貨店で販売していますね。ここにターゲットの棲み分けがあるのでしょう。
日本でIVYファッションが流行したのは東京オリンピック前後だったようです。銀座のみゆき通りをVANの紙袋を小脇に抱えて徘徊する若者が多く出現、「みゆき族」と呼ばれていたそうな。
そんな社会現象まで巻き起こした企業ですが放漫経営が災いしてVANは倒産してしまいます。
ただ、その後新たに立ち上げた会社によって国内に数店舗ですがVANブランドの路面店を運営していました。
タイミングよく第二次IVYブームが起こった時に私は中学生。ハマりました。大好きでした。新潟県内には直営店はなくて親父に頼んで新潟から一番近い仙台のお店まで連れていってもらったのは今でもよく覚えています。その後新潟市内の衣料品店が一部商品を扱うようになると友人たちと買いに行ったりしてました。
話を戻して。
このT-shirtの購入動機はノスタルジーもあるのですが「アメリカンコットンを使用」というところ。
個人的にかなり惹かれるセールスポイントですので。
アメリカンコットンが使われていますが織りは私がカスタムオーダーしたRoyal Apparel社製のものよりは日本人が好みそうなしっかりとした生地に仕上がってます。
ネックはバインダータイプでネックテープはなし。肩はシングルステッチ仕様で丸胴ではなく二枚仕立てで生産は中国。
ポケットTで、ポケットに小さなロゴワッペン。そして裾にも小さく刺繍された星条旗とその下に「USA COTTON」の文字。可愛いしここまでやるってことはやっぱりアメリカンコットン使用が一番のセールスポイントなんだなと。
バックプリントこそVANがVANであるアイデンティティですのでこのモデルを購入。
ただ、本家に脈々と継承されている「for the young and the young-at-heart」のコピーは使えなかったのかこちらは「counting on you to-do-a-wonderful-life」になってます。フォントは同じもののようですがやっぱり違和感ありますね、オリジナルを知る者にとっては。
あとVAN JACではなくVAN 「CLUB」なんです。ここもちょっと違和感が。まぁ本家ではないので仕方ないんですが。
値段は¥2900+税。店内には春夏モデルがセール中だったのですが、これは定番モデルなのでセール除外扱いでした。
お店にはみゆき族のステイタスだった紙袋(レプリカ)がディスプレイされていたのでこれに入れてくれるのかなと淡い期待をしていたのですが専用のロゴ入りのポリバッグでした。ちょっと残念。
今の若い人たちには「なにそれ?」と言われそうなブランドですがこういうのがあったという意味合いでも時間のある時にでも色々調べてほしいです。1990年代後半ブームになった裏原などとは全く違う志で生まれたブランドですから。
創業者:石津謙介氏の生涯を追った評伝「VANから遠く離れて」も勉強になりますよ。
1). 両袖のピーク幅 88cm
2). ネック後部からの身丈の長さ 67cm
3). 脇幅 52.5cm
4). ネックリブの縫い付け部の幅(首周り) 20.5cm
5). 脇の縫製部分の長さ(おおよそです)22.5cm
6). アームホール(平らにしての採寸)17cm
7). ネックリブ自体の幅 2cm
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