一言でT-shirtsと申しましても年代やブランドでディテールが多岐にわたっています。気に入って購入したブランドだけれどいつの間にか仕様が変わってしまってる、なんて事が何十年も愛用しているとよく遭遇しがちです。
ここではそういった変化・変遷をアーカイヴとして書き留めておきたいと思います。
T-shirtsを扱う商売であり、かつ、市井のT-shirts好きの与太話ですが宜しくお付き合いのほどを。
今回はこれ。懐かしい6色 ロゴ時代のもの。
このコピーのT-shirtsはアップルの新入社員がトレーニングを受けているときにもらえるT-shirtsです。
ジョブスからTim CookにCEOが代わってこのしきたりが今も生きているのかわかりませんが、少なくとも2000年代初頭まではあったと思われます。
この6色リンゴが好きでこれは未だにデッドストック状態で保管していますが、実は2000年代初頭にもう一着手に入れることができて、そちらは6色ではなく、グラファイト色の単色 ロゴでフォントは同じくapple garamondでした。で、プリントはフロントではなく、バックプリント、使われてたT-shirtsはHanesのBeefy-Tでした。残念ながら着倒して処分してしまい、そちらは写真も残っていません。
このコピーは元々禅にハマっていたJobsが「the journey is the reward」という言葉を気に入っていて、それが変化して、というか、アップルで働く意義や大変さをこのシンプルなコピーで表したものらしいです。
それは名著「Apple T-shirts」(1997年刊。廃刊)の表紙カバーの折の部分に唐突に解説がありまして、
Steve Jobs used the Zen proverb, “ the journey is the reward”, to motivate engineers creating the original Macintosh. Not long after, the phrase was modified for this shirt given to all new employees during orientation.
と。ここでは同じような6色 & Apple Gramondフォントのプリント部分のクローズアップ写真と一緒にこのコメントが添えられています。
この時期のT-shirtはONEITAでした。
ちょっと地味な?ブランドですが創業自体は古く、1893年。しかし100年後の1998年にONEITA INDUSTRIES, INC.として倒産し、その歴史に幕が閉じてしまいます。
アップル関連のT-shirtsでONEITAが使われているのは1998年のちょっと前が多いんですよね。わかりやすい時期で言えばMac OS8まで。1997年ですね。倒産の前年。ですのでおそらくこれも1994-1997年辺りの物件ではないか、と。
タグを見ると
ONEITA
POWER-T
PRE-SHRUNK
100% COTTON
FABRIC MADE IN U.S.A.
SEWN IN JAMAICA
L(42-44)
CARE OVER
POWER-TはHanesのBeefy-Tと同じポジションでしょうか?
アメリカ中の多くのアパレル会社が国内生産からジャマイカ生産にシフトしだすのが1990年代中期までですからまぁ推測もあながち外れてはいないか、と。1990年代後期になるとメキシコ生産が増えますから。
1). 両袖のピーク幅 89cm
2). ネック後部からの身丈の長さ 73.5cm
3). 脇幅 51cm
4). ネックリブの縫い付け部の幅(首周り) 19cm
5). 脇の縫製部分の長さ(おおよそです)25cm
6). アームホール(平らにしての採寸)19cm
7). ネックリブ自体の幅 3cm
ネックリブの太さが3cmあります。これは1980年代始めまでのBeefy-Tにも似た仕様。
あとこのT-shirt、脇幅51cmでしたが、ボトムも同じなんですよね。通常は腰に配慮して?ほんの少し広がっていくんですが。独特の特徴を持った仕様と言えます。
このコピーをもって春から新しい生活が始まる皆さんへのエールにしたいと思います。